2019/05/28
ポジティブ心理学はセリグマンが提唱してから多くの研究者が、様々な切り口から研究を進めてきました。
その研究領域はとても広いのですが、その中でも、ポジティブ心理学を支えるような研究がいくつかあります。
例えば、ミハイ・チクセントミハイのフロー研究が代表的です。そして、エド・ディナーの幸福研究などです。
ポジティブ心理学の3つの階層
ポジティブ心理学の研究領域には3つの階層があります。
- 主観的階層
- 個人的階層
- 社会的階層
主観的階層では、喜び、ウェルビーイング、満足感、充実感、幸福感、楽観性、フローなどが研究されています。
ウェルビーイングの研究が盛んになってきた理由
ウェルビーイングの研究が盛んになってきた理由は、
- 豊かな経済発展を遂げた現代社会では、生存の問題が主要なテーマではなくなり、クオリティー・オブ・ライフが重要になってきた。
- 個人主義が加速し、個人の幸福度が重要になってきた。
- 有効で信頼できる研究の発展によりウェルビーイングの研究が広く認識され確立してきた。
ことが考えられます。
主観的ウェルビーイングの定義
主観的ウェルビーイングとは、エド・ディナーの定義によると
人々が自身の人生を「認知的」に、そして「感情的」にどのように評価するかで構成され、次のように定義することができる。
◆主観的ウェルビーイング=人生の満足度+感情
とされます。
「認知的」にという部分が人生の満足度に当たります。人生の満足度とは、自分自信の人生の理想に対する現実の評価と言えます。つまり、理想と現実のギャップが満足度を表すので、ギャップが少ないほど満足度が上がるということになります。
「感情的」というのは、心情的な側面を表していると言えます。ポジティブやネガティブな気分や心情で構成されます。
これを先程の定義に当てはめると、
◆主観的ウェルビーイング=人生の満足度+高いポジティブ感情+低いネガティブ感情
ということになります。つまり、主観的なより良い生き方や健康的な生き方というのは理想と現実の差を埋めながらポジティブ感情を増やし、ネガティブ感情を少なくしていくということになります。
では、次に考えることは、主観的なウェルビーイングを高めることは可能なのかということでね。
主観的ウェルビーイングは意図的に高められるのか
これについても多くの研究や主張がされています。セリグマンはこれらたくさんの研究結果から、私たちが主観的ウェルビーイングを操作出来る可能性が40%もあることを示しました。つまり努力すれば主観的ウェルビーイングを高めることが出来るのです。
主観的ウェルビーイングと相関関係があるだけではなく主観的ウェルビーイングを高めるものとしては、社会的な人間関係が多くの研究で有力だとされています。
例えば、セリグマンとディーナーの研究では、主観的ウェルビーイングを感じている学生を研究した結果、そうでない学生との間にたった一つだけ大きな違いがあることが分かりました。
それは、彼らは、豊かで充実した生活を送っていたということです。
具体的には、独りで過ごす時間が少なく、友達との関係がよく、恋人がいました。他の睡眠時間やテレビを見る時間、運動や喫煙、お酒の量などの差は殆どなかったということです。
*主観的ウェルビーイングと言う言葉を日本語に訳するのはとても難しいです。個人的な幸福感とか幸福度などと訳している場合が多いようです。ここでは、ウェルビーイングで使われる「良い生き方や健康的な生き方」をそのまま使っています。
2019年4月にセリグマンが来日したときの記事がありました。以下からお読みいただけます。
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